鹿追町在住の墨アーティスト、月下美紀(83)さんによる作品が、屈足寺の図書室「遇庵」において展示中です。月下さんは広島県出身で、4歳のときに爆心地から約4キロ離れたところで被爆しています。会社員時代はオランダで駐住し、その後自らの被爆体験をもとにローマ法王に平和を訴える文章を献上しにいったり、マザー・テレサとともにインドを歩き平和活動をされたりと、世界をわたって活躍されているかたです。
『アイヌ神謡集』は知里幸恵(1903-1922)さんが代々語りつがれてきたアイヌの民話を、日本語訳とともにまとめた書物です。「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」ではじまる詩的な文章は、いまもなお多くの人を魅了しています。
月下さんいわく、『アイヌ神謡集』は自然とともに共生していたアイヌの文化を伝える貴重な物語。今こそ自然と人間のあり方をみなおすべき、とおっしゃっていました。展示作品は墨絵とともにアイヌ神謡集のはじまりの部分を中心の日本語訳でかかれています。
ヒグマ出没のニュースを耳にすることも多くなりました。また車を走らせていると、ときどきキツネやアライグマが車によって轢かれているのをみるにつけ、ますます自然における共生ということが頭に焼きつけられます。
月下さんの作品は12月初旬をめどに展示していますので、関心のあるかたはぜひお寺に遊びにきてください。